ピアノ演奏とは芸術表現活動です!!

2016年11月
11 /20 2016
ピアノ演奏とは一体何でしょうか? それは芸術表現活動です。

では表現とは何でしょうか?

私は今大学院で表現系という学部に在籍しておりますが、そこはピアノの方ばかりではありません。 声楽の方、舞踊の方、建築の方、絵画の方、彫刻の方など、ジャンルに関わらず何かを表現している人の集団です。 自分の専攻する分野を通して、表現する事とはどういう事かを分析し論文を書くという学部ですが、私は今そこで「シューマンの幻想曲Op.17についての研究」という論文を書いております。

人間は皆日々何かを表現致しております。 生きている人間で何かを表現していない人間はいないのです。 なぜなら表現するという事は【生きる】という意味だからです。 赤ちゃんでも何かを常に表現致しております。 寝たきりのご老人でも自分の意志はございます。 みな人間は生きている限り何かを表現しているのです。

ところで人間は皆「五感」という感覚を持っておりますが、これら五感はお互いに影響し合っているのです。 人間は何かを触れば必ず別の感覚も働きます。 例えば触って痛ければ怖いなどという恐怖心がおきます。 食べるものでも見てきれいな色なら食べてみたいと思います。 また色をみて音楽が耳で鳴る人もいます。 色をみて言葉が溢れてくる人もいます。 このように人間は五感がお互いに影響し合って働いているおかげで≪動物ではなく人間でいる事ができている≫のです。

しかしこの五感の統合は人間が意識しない部分での五感の働きです。 この働きをもっと本人が自覚している感覚を持っている人がいるのです。 その感覚を「共通感覚」と呼びます。 共通感覚を持つ人間は10万人に一人いると言われております。 俗に天才と言われる人達です。 歴史上で有名な人にゲーテがいます。 音楽家ではスクリャービンが共通感覚の持ち主として有名です。

我々凡人には先天的にはこの共通感覚はありませんが、芸術のお勉強をするためには後天的に訓練してこの共通感覚を持つ必要があります。

芸術はARTといわれますが、これは訳しますと技巧という意味です。 確かに芸術は何かを表現するための技巧を専門的に学んでいる学問ですが、この「知」の部分の訓練ばかりが進んでも芸術本来の目的の「表現」の世界とは程遠いものになってしまいます。

ピアノを専門に学ぶ学生さんたちがピアノをお勉強する一方で、オペラを見に行ったり、シンフォニーを聴きに行ったり、バレエを見に行ったり、美術館に絵を見に行ったり、古典の名著を読んだりと五感を刺激するお勉強をするのはこのためなのです。

趣味ではなくピアノを専門に学ぶお子さんはいろいろな芸術に触れ五感を鍛え他者との融和をはかりながらお勉強を進め、そしてピアノのお勉強の最終はコスミックな世界に到達するのがピアノ演奏つまり芸術表現活動のあるべき姿ではないかと私は思います。

ちなみにcosmic(コスミック)はchaotic(無秩序な)の対義語で、orderly(秩序のある)やharmonious(調和のある)の意味もあります。

良く人と変わった事をしたり人と和合できない人を芸術家と呼ぶ人がいますが、これは間違っています。 芸術に要求される事は秩序と調和です。

専門に進まれる生徒さんはハードな練習による技術の習得はもちろん必要最低条件ですが、それだけではなくピアノ演奏とは芸術表現活動だという事を忘れず、感性の啓発に努めてほしいと思います。


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