正しいピアノ奏法と間違ったピアノ奏法

2016年11月
11 /24 2016
明治維新と共に数々の西洋文化が一気に日本に輸入され、ピアノという楽器も大きな興味を持って日本人に迎えられました。

しかし初めはピアノの設置の仕方すら分からず、ピアノの脚を付けず和室の畳の上に置いて、御座布団をピアノの前に並べ、座布団に座りピアノの音を大きな緊張感を持って聴いたそうです。

紙と木の文化の日本人が西洋の石の文化から生まれた構築性のある音楽を正しく理解するには、その後1世紀以上の月日がかかります。 当初はピアノ演奏は聴くものではなく、見るもので、女性ピアニストがリボンを飛ばし髪を振り乱して熱狂的に演奏すれば、日本人の聴衆は拍手を贈ったそうです。

明治政府も西洋に特使を派遣し様々な方法で西洋文化の吸収に努力したようですが、キリスト教の文化の伝統が薄い日本で、キリスト教の文化の中から生まれてきたクラシック音楽を正しく理解するのはかなり難しかったようです。

そのような歴史の中で生まれ、現在では間違った奏法という事が浸透している日本独特のピアノ奏法に「ハイ・フィンガー・タッチ」という古いピアノ奏法があります。

昭和40年くらいまでの日本人の多くはこの間違った奏法でピアノを習っている人が多く、今でも時々この間違った奏法でピアノを弾くお子さんを見かけます。

「ハイ・フィンガー・タッチ」と言うのは一本ずつの指を高く上げて演奏する奏法ですが、この奏法では固いまるで木琴をたたくような音しかでて来ず、ピアノに必要な「音色の多彩さ」を作り出す事はできません。

ピアノという楽器は楽器の構造上、鍵盤が下に下がる前やまた鍵盤が底まで下がった後にどんな力を加えても、音は変わりません。 わずか数ミリの鍵盤の動きを使って数々の音を作り出すわけですが、そのためにいろんなタッチをお勉強致します。

ピアニストはこの様々なタッチを獲得するために小さい時から長い時間をかけてピアノを学び続けるわけで、これは一朝一夕で獲得できるテクニックではありません。

フォルテの音は手首の力を使ったり、指の高い位置からの乱暴な打鍵で出すものではなく、訓練された指の筋力から生まれる打鍵のスピードで出す音です。

またピアノ(P)の音は、打鍵する前にスピードを緩めて出すわけではありません。 こちらも指の筋力の調整で出します。

この指の筋力はハノンやエチュードの練習を正しく気長に積み重ねる事によってしか獲得できません。 ですから専門に進まれるお子さんがコンクールの曲1曲だけを特訓してお勉強すると言うのはピアノのお勉強の弊害になるケースが多いのです。

いくら練習しても音色が変わらないお子さんは、一度自分のピアノ奏法を見直してみられたらいかがでしょうか?

奏法を変えると言うのはなかなか大変な事ですが、努力次第ではできない事ではありません。 先生がいくら注意しても本人が自分の奏法の間違いに気付かなくては効果はありません。 本人が自分の奏法の間違いに気付き、自分で直そうと言う自覚を持って練習する事が必要かと思います。


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