ラヴェルの楽譜~版による記譜の違い~

2015年12月
12 /20 2015
現在私が取り組んでいるラヴェルの鏡について書きたいと思います。
なぜ演奏する時にあらゆる出版社の楽譜を見比べるのでしょうか。

楽譜には原典版と呼ばれるものと校訂版と呼ばれるものがありますが、基本はほぼ同じです。 しかし校訂版の方は編集者の音楽に対する考え(フレーズや強弱記号など)が付け加えられています。 それは”解釈の違い”と言われるものだと思いますが、CDを聴き比べることによっても演奏家による解釈の違いを聞き取ることはできますが、楽譜から解釈の違いを読み取ることができます。

解釈の違いだけなら良いのですが、時々ミスプリかと見受けられる楽譜もあります。 フランスもののデュラン版の楽譜で読譜していると、小節の拍数が合わないミスプリかと思われる箇所が何ケ所か出てまいります。

ラヴェルの鏡の中の第1曲「蛾」の中にもありました。
デュラン社
↓最後の休符が16分休符になっています。
P1020790.jpg

ショット社
↓最後の休符が8分休符です。
P1020791.jpg

細かいようですが、デュラン版の譜割りだと、この曲は3拍子ですから、前の10個並んだ32分音符はゆったり弾かなければいけない計算になります。 CDを聴いてなんとなく弾くこともできますが、楽譜から正確に音楽を読み取ろうとすると、一つの楽譜だけを思い込んで演奏していると、解釈どころか根本から間違った演奏解釈になることがあります。

この32分音符をゆったり弾いていたところ、ラヴェルに直接教えを受けたフランスのピアニストのぺルルミュテールに師事されていた♪阿部裕之先生♪にレッスンの中で、「ショット版では譜割りはこう」とご指摘頂き、ショット版の楽譜を購入したところ、全く楽譜が違うことが判明しました。

そのような理由から深く読み込んで演奏するには、何冊かの楽譜を見比べないといけないのだと思いました。

~20世紀の名演奏家ピアニスト紹介~
ヴラド・ペルルミュテール  Vlado Perlemuter
 ヴラド・ぺルルミュテールは当時ポーランド領であったリトアニアのコブノに1904年5月13日に生まれたフランスのピアニストである。
 13歳でパリ音楽院に入学し、モシュコフスキーとコルトーに師事し、モシュコフスキーからはヴィルトゥオーゾ的なテクニック、コルトーからは音楽表現上の繊細なテクニックを学んだ。
 日本でも”ラヴェル弾き”として有名なピアニストであったが、ペルルミュテールの芸風を確立する最大の要因は作曲家ラヴェルとの出会いであったという。
 ペルルミュテールはラヴェルに気に入られ、ラヴェルから直接彼のピアノ曲全曲を学ぶチャンスに恵まれ、彼の意図を徹底的に叩き込まれたという。
 教育活動にも熱心で、パリ音楽院の教授として多くの弟子を育てている。


バッハやモーツァルトなどは、3世紀ほども前の作曲家で、バッハやモーツァルトがなぜその曲を作曲したのか真意などは考古学のように調べるしかないわけですが、ラヴェルのように近代の作曲家になりますと、直接作曲家と触れ合った人物がまだ存命している可能性が高く、話を聞くことが可能になります。
 

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